白いアトリエ

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2000

写真: 坂本昭・設計工房CASA



敷地は、若者が集まるいわゆる「アメリカ村」の西側、南堀江にある。地盤が軟弱なため、1階から3階を鉄筋コンクリート造、4階部分のみを鉄骨造とし、間口の関係から構造を薄肉ラーメン構造とした。設計当初は1・2階を吹抜けの大型車用の駐車スペース、3・4階を住宅としても使用可能なアトリエとして計画していたが、近ごろは堀江周辺が、以前の家具屋街からカフェやブティックの散在するエリアに変わりつつあることから、施工中に2階までを店舗とし、4層の建物へと変更することにした。

内部空間は、敷地形状に応じて南北に延びる2枚の外壁と、それらに挟まれた1枚の壁によって構成される。人はまず、内側の壁と外側の壁に挟まれた階段室で、トップライトと廊下の床に用いたファイバーグレイチングのふたつのフィルターを通して射し込む木漏れ日のようなような光に包まれる。階段を上りきると、そこには3階アトリエの水平方向に展開された空間が広がり、視線は南側つまり外部へと移る。アトリエにいる人の気配、建物前面を歩く人の気配を感じることができ、内部と外部は一体感を生み出すだろう。また、短辺方向に架かる梁はこの空間に緊張感を与え、空間は上へ、トップライトから見える空へとつながっていく。

4階は白く塗られた均質な空間を進んでいく。4階の最奥部には、ぼんやりとした光だけが見える空間を用意した。ファイバーグレイチングの廊下はその室へと続き、トップライトからの光は体をすり抜けて下階へ落ちていき、空間の上下階の連続性がもたらされる。水平方向に広がる空間と、垂直に伸びる階段室の空間は結びつき、ときに絡み合い、相互に貫入し、つながれ、あるいは分けられる。この建物において内側の壁は、人それぞれの意識によって変化し、空間をつくる。

建物内にはさまざまな光が存在し、デッキ上方から照らす光は夜、白い立方体を浮かびあがらせる。南北に走るトップライトから射し込む光優しく体を包み込む。異なる光の量、異なる光の質が、空間に時間の流れを生む。空間は光と影なしではその意味をなさない。水が容器のかたちによって姿を変えるように、光と影もまた、空間によってそのかたちを変える。水は流れ、光も空間の中を流れていく。白く塗られた壁と、ディテールの消された空間はそれをより意識させるだろう。



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